プロの住宅レシピ 自分のためのアートを飾る空間を創る
小川 純一
アートのある暮らしは日々の生活をとても豊かにしてくれます。設計した家の竣工後、点検などでお伺いすると何かしら飾っている方はとても多いです。そこで、なんとなく空いているスペースにアートを飾るのではなく、設計段階から飾る場所や照明を計画し、より雰囲気の良い空間をつくることを提案しています。
例えば絵や写真を壁にかけられるように白い壁面を多く確保するため、造作の収納を天井までではなくカウンターの高さにし、壁面とカウンターの上に飾る場を設けています。もちろん収納量が犠牲にならないように床下収納を設けるなど、暮らしにくくならない工夫も同時に行っています。写真の『江古田の家』では小上がりの畳スペースの下を収納とすることで収納量を補っています。
また、飾るものについても、名作のレプリカ等というよりも作家さんの手作りの一点ものなど本物の良さを感じられるものをおすすめしています。それは高価な物という意味ではなく、自分のための空間にささやかな物であっても自分が本当に愛せる本物を飾ることで気持ちが豊かになると考えるからです。人によってはそれが家族の写真であっても良いと思います。私自身、絵を描いたりアートを見ることが好きなので、ご要望があれば作家さんの作品、ギャラリーのご紹介などもしています。