プロの住宅レシピ 開閉式シェードで室内と路地をゆるやかにつなぐ
畝森泰行
昨今の家は閉鎖的になりがちですが、周囲とつながる生活の豊かさも大事だと考えています。
この『Houses』では親類同士の家2棟を隣り合わせに建て、間の路地を共有して緩やかにつながる居住環境を創りました。
その路地で行った工夫のひとつがこの可動式シェードです。固定のひさしやタープではなく、天候や気分に合わせて開閉できるシェードを設置することで、路地が時に部屋の延長のような空間になり、時に開放された屋外になります。このケースでは2棟はお互いの目線が抜けるようにテラスとダイニングを向かい合わせに配置するなどレイアウトや高低をずらして設計しているので、よりこのシェード下の空間がただの通路ではなく子どもたちが遊ぶこともできる有効な場所になっています。
今回のようなケースではなくても、テラスや母屋と離れの間などにこのような開閉可能なシェードを設置することで空間の使い途が増えたり、広がりを感じられることもあると思います。
PHOTO: 中村絵