プロの住宅レシピ 要素を減らしスッキリ作る、狭小住宅の大らかキッチン
谷山武志・谷山裕子
狭小住宅のLDKは、くつろぎの場でもあり、料理をする場でもあり、おもてなしの場でもあります。
いかにも「キッチンに住んでいる」という印象にならないように、キッチンもひとつの家具として考え、リビングの家具と同じ素材で作っています。そのほかにもキッチンを構成するさまざまな要素を減らし、スッキリとした印象になるよう工夫しています。
例えば棚。吊戸棚ではなくオープン棚にすることで空間に余白が生まれます。 キッチン感がでやすいタオル掛けは無くし、棚に置いた竹のかごにフキンや手拭きを入れて乾かしながら使っています。鍋つかみはそのまま棚上に。ゴミ袋などもかごに入れて置いておくことですぐに取り出せ実用的です。また、細かく分けがちなキッチンの収納は大らかな扉割にし、手掛けのバーなども無くしました。
そして、キッチンの印象を強めるコンロ前の壁の仕上げについては、タイルやキッチンパネルを貼るのではなく、他の部屋の壁面と見た目を同じように白い塗装(掃除を考慮して三分ツヤ程度のウレタン塗装)仕上げとしました。存在が目立つレンジフードも、前面パネルを壁面と同じ色と質感にすることで出来るだけ主張せず、空間に馴染むようにしています。
限られた空間であるからこそ、生活に大らかさを与えるようなLDKの設計を心掛けています。