プロの住宅レシピ シンプルな美しさ 壁との一体化で空間に溶け込んだ階段
高橋翔太朗
『忌部の離れ』は、絵を飾るため内装はシンプルな色味にしたいという希望を受けて、白を基調とした空間にしました。その中で階段も閉じた専用空間にして面積をとってしまうよりも、シンプルで壁と一体化したような白い階段にして、室内に見せるデザインにしようと考えました。
階段は片側のみで支持した突出階段とし、踏み板は厚さ70mmの見付け(正面から見た際の材の寸法)として重さを強調しています。開口部があるため木造階段は構造的に難しく、鉄骨でできていますが、仕上げの質感を周囲の空間と合わせるつくりとしました。手すりもスリムな丸パイプを採用し、ミニマルな印象に仕上げました。また、4枚目の写真で見えている階段の登り口の部分は引き戸で閉じることができます。すると部屋の中からは登り口が見えず途中から現れる不思議な階段になり、玄関からは他の部屋を通らず直行する階段となります。
階段は2階建て以上の住居では必要不可欠なものですが、このような見せる工夫で使う面積を節約しつつデザイン性をもたせることもできます。
PHOTO: Koji Fujii / TOREAL