プロの住宅レシピ 空間で空間を区切る、内と外を緩やかに分ける大きな軒
高橋翔太朗
ゆったりとした敷地を活かしたおおきな軒(のき)のある住まいです。当初、施主の方は目隠しのような形で外部と敷地を区切りたいというご希望をお持ちでした。
しかしせっかく平屋のゆったりとしたデザインの建物を柵で囲むと、空間の広がりが途切れもったいないと考えました。そこでこの軒下を広く設けることで、空間を仕切るプランを提案しました。この場所がプライベートとパブリックの中間の場所としての役割を果たし、緩やかに内と外を分けることを意図しています。日陰のスペースで団らんもでき、道路側からの室内への直接的な視線もかわすことができます。さらに屋内と屋外の軒部分の木材を同じものにそろえることで室内から外へと広がる空間の連続性も意識しました。
このように明確な区切りで空間を断ち切ってしまうのではなく、緩やかな連続性を持たせたまま場面を切り替えていくという方法で、より広がりを感じる空間づくりをすることも可能になります。
PHOTO:岡田泰治