プロの住宅レシピ つながる家 植栽の株分けで生まれるゆるやかなコミュニケーション
福井啓介・森川啓介
写真を見ていただくとわかるように『HOUSE F』は緑の多い建物です。実はこれらの植栽がこの建物と周辺地域をつなぐ場の一つになっています。
少し個性的な工夫なので、どなたでも採り入れられるというものではないかもしれませんが、植物のある生活や地域とのつながりに興味がある方へ向けてご紹介します。
『HOUSE F』のある地域は比較的新しめの住宅街です。そのコミュニティの中でつながりを生んでいくのに植物の株分けが一役買っています。植物を育てる過程で、生育をよくするために間引きを行いますが、間引いた株を捨てるのではなく、ご近所に株分けするのです。近隣にガーデニングが好きなお宅があり、そこに集まった株をおすそ分け頂いて『HOUSE F』のバルコニーにどんどん植えていっています。そして、そこで育った植物はまた株分けで、別の家へと旅立っていきます。
このように、家の植栽を通して新しい街のコミュニティが成熟して行くことを目指しています。
PHOTO: Kouji Fujii _Shinkenchiku-sha