プロの住宅レシピ 視線を避けて自然現象をとりこむ窓とバルコニー
小林 裕志
都市部の家において何が贅沢かということを考えたときに、視線の伸びやかさということがポイントになると考えました。
都会ではいくらお金を出しても外に自然だけが広がるという環境を得ることは難しいと思います。
そのような環境の中でなるべく周囲からの視線は避けながら、雨や雪と言った自然現象は感じられるように設計したのが写真のバルコニーと窓です。
空へ向けて家の外皮を切り取ったようなバルコニーは外部からの目線を遮りつつ、そのフレームを通して空の様子を室内へとつなぎます。階段からリビングへと上がった目線の先には、空が広がる豊かな空間となります。また、この設計では外からの目線を遮るためのカーテンは必要ありません。窓の上部にのみブラインドをつけて日射しなどの調節を行っています。
雨が降ると窓越しにバルコニーのフレーム部分を通して家の中に降り注ぐような美しい光景が広がります。
PHOTO:有限会社フォワード