プロの住宅レシピ 和紙のない障子 ~100%と0%~
岡﨑 絢・金沢 将
『house AO』のリノベーションで、いわゆる「ゴリゴリの本気の和室」からの脱却を目指して行った工夫です。
写真5枚目のように、元々は障子がずらりと並ぶ和室でした。和紙が光を通すとはいえ、感覚的には外光の50%くらいの光が通っているような感じで、正直「なんだか暗いな」という印象を持ちました。
また、障子を閉じると外が見えないというのも気になりました。以前の住人が残してくれた植栽や、お気に入りのオリーブやみかんの木などの緑が室内から見えるほうが暮らし方に合う気がしました。
そこで、障子の和紙を取り払い、光を100%通す素通しの部分と、光の透過0%のシナベニヤ張りの部分のある枠に作り変えました。シナベニヤを張る箇所を設けたのは、目線が止まる部分がある方が、手前と枠の向こうの奥行きの差が出て、より枠の先の外が際立つと考えたからです。障子のように全体がポワンと明るくなるよりも、光が100か0かがはっきりした方がこの家の新しい暮らしには相応しいと考えました。
PHOTO: 森田大貴 Lenz Design