プロの住宅レシピ 光をデザインする素材遣いと窓の役割

ラブアーキテクチャー
浅利 幸男

光の射し込む室内。光の変化を通して、外の変化が家の中でも感じられる。

庭の植栽の影が落ちる壁と、壁材の凹凸にあたる光で表情を変える壁。

格子にあたった光が天井と床に影を生み出す。季節や時刻の変化でその表情も移り変わる。

(左写真)床の素材の切り替えにより、光の反射に変化が生まれている。
(右写真)柔らかな光を採りこむ採光のための窓

窓の外の設えを楽しめる眺望のための窓。

設計をする際に光のデザインが一番難しいポイントだと考えています。光自体は見えるものではありませんが、対象物にあたることで様々な表情が生まれます。
この光が当たる壁の質感や格子の陰影により、その空間の空気感を生み出していきます。

そして、それらを生み出す上で欠かせないのが自然光およびそれを採り込む窓です。
ここで窓の持つ役割についてお話ししたいのですが、窓には眺望・採光・換気という3つの役割がありますが、実はこのすべてを1つの窓に担わせる必要はありません。
採光が目的の窓、眺望のための窓と役割を分けることで、より適正な姿の窓、光の採り込み方とすることができ、住まい手の望む心地よい空間づくりをすることができます。

私はしばしば、建て主との間で言語化できないけれど共有できている感覚、好きな映画や本の話などを通じて感じとったことを住まいづくりで大切にしています。光の表現もその一つです。
写真の『小金井の家』も映画『ミツバチのささやき』のような家にしてほしいとの要望を読み解いて生まれた家でした。
言葉にしきれない感性を共有することで、住む人にとっての最適解を提供できればと考えています。

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浅利 幸男

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