プロの住宅レシピ 廊下をただの通り道にしない居心地のいい空間づくり
礒健介
家づくりをするときに、一つの決まった用途にしか使えない空間ではなく、幾つかの用途を兼ねている空間づくりをすることが多いです。
この『糸島の家』では、吹き抜けと大きな窓に面した廊下をただの通り道ではなく、見晴らしがよく居心地のいいスペースとすることを意図しました。まず、廊下には書棚やちょっとしたデスクのようなものを造りつけています。ここに小さな椅子などをおいて、ただ移動するための通路ではなく滞在できる空間としました。さらにポイントとなっているのが、腰壁の上に設置した厚みのある木です。ただの細い手すりではなく、カウンターのようにちょっと肘をついたり、リラックスして使えるよう幅と厚みのある木を使用することで、この空間を安心感のあるとどまりやすい場所にしています。このように家の中の心地よい空間を最大限活かすような工夫ができるのも建築家との家づくりの魅力かと思います。